これからどんどんプラモデルを作っていくにあたって、スジ彫りをする機会も出てくるだろうと思いネットを色々検索。
いやー、今の世の中にはこんなにたくさんのスジ彫り道具があるんですね!
(ちょっと浦島太郎な気持ち)
情報が限られていた25年前からは考えられない、うれしい悲鳴です。
情報が多すぎて、逆に何を選べば良いのか分かりません。
そんな中で色々なガンプラブログを見ていて評判の良かったものの一つが、ファンテックのスジ彫りカーバイトです。
いざ「スジ彫りするぞっ!」という時に道具がないと気持ちが冷めてしまいそうなので、先行投資の意味も含めてスジ彫りカーバイト0.15mmスターターセットを購入しました。
ファンテック スジ彫りカーバイト0.15 スターターセット の内容
スターターセットの内容は、
- スジ彫りカーバイト0.15mm(ケースの中)
- スジ彫りカーバイト保護ケース
- 磨き・ケバ立ち取りブラシ
- 斬技(キレワザ)ホルダー本体
- 斬技(キレワザ)ホルダー用スポンジグリップ(黒いやつ)
- スポンジグリップ用すべり止めテープ
となっています。
スジ彫りカーバイト自体が繊細で高価な道具なので、専用保護ケースはありがたいですね。
スジ彫りカーバイト0.15mmと保護ケース
ファンテックのスジ彫りカーバイト本体は、専用保護ケースに納まって送られてきます。
保護ケースを両側にパカッと開くと、スジ彫りカーバイト0.15mmがニョキッと自立してお目見え。
スジ彫りカーバイトに付いている、青い識別リングが分かりやすくてGoodです。
スジ彫りカーバイト自体は超硬合金(タングステンカーバイト)でできています。
タングステンカーバイド(炭化タングステン)とは
等モル量のタングステン原子と炭素原子からなる無機化合物(炭化物)である。英語名に基づき、タングステンカーバイドとも呼ばれる。ヤング率は約550 GPaに達し[2]、鋼の約2倍の剛性を持ち、鋼やチタンよりはるかに緻密な構造を呈する。
という超硬合金の一種ということです。
超硬合金の特徴としては
超硬合金の特徴は硬度が高く、特に高温時の硬度低下が少ないことである。このため、超硬合金が採用される分野は耐摩耗性を要求される分野であり、特に切削工具や金型などに採用される。
ということで、産業用の切削工具にも採用されている金属なので、プラスチックなんかはガリガリ削ってくれそうです。
ただし硬いかわりに曲げに弱く粘りがないという特徴もあるので、ねじったり、弾いたり、横からの力が加わるような使い方をすると折れやすいので注意が必要です。
ちなみにファンテックのスジ彫りカーバイトは今のところ、0.1mm、0.15mm、0.2mm、0.25mm、0.3mmの5サイズで、軸径はΦ3mmとなっています。
スジ彫りカーバイトを直接受けているパーツは保護ケースにダボではまっているだけなので、簡単に取り外せます。
この受けパーツはスポスポ抜けるので、ケースを開ける際にスジ彫りカーバイトをぶちまけてしまわないか心配なぐらいです。
斬技(キレワザ)ホルダー本体
お次は斬技(キレワザ)ホルダー本体のほうにいってみます。
ホルダーには黒いスポンジグリップ(見た目はゴムに見える)がついていますが、これがけっこうガバガバです。
親切に滑り止めテープも付属していますが、太すぎて使いにくそうなのでスポンジグリップ自体まだお世話になっていません。
いちおうタミヤのピンバイスやモデラーズナイフとの比較ショット。
かなりずんぐりむっくりです。
ペンや鉛筆というより、小さな擦り棒を持っているようなサイズ感でした。
スポンジグリップを外した状態。
アルミ製なので意外と軽く、持つとタミヤのピンバイスより軽量でした。
青いボディむき出しのほうがカッコイイし、ローレット加工が直に手に触れて安定しそうです。
寸法は先のチャック部分の径が14mm強、ブルーの筒部分の径が12mm強、長さは約112mmでした。
シルバーのチャック(なんて名前だろう?)のパーツを外すと黒いコレットが見えますが、ピンバイスのように取り外す事はできません。
スジ彫りカーバイトを斬技ホルダーに装着!
取り付けてみるとこんな感じです。
識別用のリングいっぱいに装着します。
このリング、スジ彫りカーバイトがホルダーの中にスポッと入り込むのを防止してくれます。
ピンバイスでドリル刃をセットする時に、スポッと刃がケースの中に入り込んだ事はありませんか?
この識別用リングがそういうトラブルを未然に防いでくれます。
識別用リングにはもう一つ利点があります。
スジ彫りカーバイト本体の金属部分に触れないで、刃の着脱ができるということです。
実は私、けっこう手汗をかきます。
手汗が工具の金属部分に付着すると、すぐにサビが発生してしまいます。
なので私が所有している道具は、新しくてもけっこう錆びていたりするんです(T_T)
刃の部分が錆びると切れ味も悪くなるので、金属部分に触れないで済むというのは私にとってかなりのメリットです。
(タングステンカーバイトは常温の空気中では酸化しないということですが、気になります)
あとご存じだと思いますが、スジ彫りカーバイトの刃は斬技ホルダー以外の持ち手にも取り付けが可能です。
3mmの軸径をくわえられるピンバイスやハンドル類に装着可能です。
画像の上はタミヤの精密ピンバイスD-Rですが、しっかり固定されて不安なく使えそうです。
画像の下はウェーブのHGマルチハンドル(細)です。
マルチハンドルの場合、軸を固定するためのコレット内の奥行きがなく、スジ彫りカーバイトをしっかり奥まで挿入できませんでした。
このマルチハンドルは、ハセガワのラインチゼル(軸径2mm)はしっかり挿入できて固定もばっちりでしたが、スジ彫りカーバイトとの相性はイマイチですね。
だからと言って固定が甘い訳ではないので、使用する分には問題なさそうですが・・・。
私の場合は純正の斬技ホルダーが太さも相性が良く、一番持ちやすいと感じました。
斬技ホルダーが2mm・3mmのコレット選択式で、マルチハンドルみたいな使い方ができたらいいのにと思うぐらいしっくりきました。
(ファンテックさん、発売してくれませんかね?)
スジ彫りカーバイトの使用感は?
以下、初めてスジ彫りカーバイト&斬技ホルダーを使ってプラ板にスジ彫りをしてみた時の感想です。
私にとってスポンジグリップを外した状態の斬技ホルダーが、太さ・長さ・重量・ローレット加工の感触ともに相性が良いようで、初めて持っても非常にしっくりきました。
またスジ彫りカーバイト自体、非常に硬い炭化タングステンという金属であること、軸径が3mmと太目であることから、プラ板を彫っている感触がしっかり伝わってきます。
斬技ホルダーが軽量で太目(手との接触面積が広い)であることも手伝って、手に伝わってくる情報量が多く感じます。
最初の数回は寝かせ気味でおっかなびっくり引いてみますが、7~8回目ぐらいからは安心してスジ彫りができました。
ギギギ、ガガガとプラスチックを引っ掻く音と感触が手に伝わってきますが、スジ彫りカーバイトの剛性感もあってガイドテープからズレることはありませんでした。
スジ彫りの断面も美しく、始点・終点ともにきっちり止めることができました。
まとめ
斬技ホルダーのしっくり感とスジ彫りカーバイトの剛性感・切れ味で、初心者の私が初めて使っても綺麗なスジ彫りができました。
専用の保護ケースやスポンジグリップも付属して、至れり尽くせりなのも嬉しいですね。
そこそこお値段のする道具ですが、「スジ彫りカーバイト0.15 スターターセット」を買って良かったと思います。
私にとってスジ彫り作業の心強い味方になってくれそうです。