ガンプラを作る時にまずやる作業が、ランナーから各パーツを切り出すゲートカット作業です。
一つのキットを作り上げていくにはたくさんのパーツを切り出さなければならず、それだけゲートカットをする回数も多くなります。
「ただ切るだけ」と思うかもしれませんが、実は仕上がりにも影響する大事な作業です。
ランナー、ゲートって何?
ゲートカットのポイント
ガンプラを綺麗に仕上げるためにパーツの切り出しで以下の4点に気を付けます。
ココがポイント
- プラモデル用ニッパーを使う
- 二度切りをする
- ニッパーの刃を当てる角度に注意
- ゲート断面の短辺方向から切る
プラモデル用ニッパーを使う
ゲートカットをする時は画像左のようなプラモデル用のニッパーを使うようにしましょう。
右のニッパーはホームセンターなどでミニ・ニッパーなどの名称で売られている物です。
左のプラモデル用のほうが刃の先端が細くなっていて、小さな隙間にも入りやすい形状になっています。
先端が細いぶん刃の強度は落ちますが、切断する相手がプラスチックなどの柔らかい素材なのでこれで大丈夫です。
上からプラモデル用、ミニ、通常のニッパーです。
よく見ると裏側の合わせ目の形状が違いますね。
パーツ側にしっかりと密着して切り離しが可能なのは、一番上のプラモデル用ニッパーになります。
通常のニッパーだと刃の形状からバリが多く残ってしまいます。
二度切りをする
綺麗にゲートカットをするためには、1度で切断しようとせず2回に分けて切り離します。
この方法を二度切りといいます。
二度切りのやり方は、1回目はパーツから離れた場所で切断します。(画像左)
二回目でパーツに直接刃を当て(もしくは少しだけ離して)カットします。(画像右)
数回に分けて切り出しをすることでパーツに不要な力・ひずみが伝わるのを減らし、切断面の白化や変形などのトラブルを予防することができます。
ニッパーの刃を当てる角度に注意
特に二度切りの2回目での話なのですが、ニッパーの刃をパーツに直接触れてカットする時は、刃を当てる角度に注意しましょう。
画像左のようにパーツ表面をガイド代わりにして、パーツ表面と平行にニッパーの刃を当てるようにします。
画像右のようにパーツ表面に対して傾いてニッパーの刃を当ててしまうと、ゲートのバリが残ってしまいます。
バリが残るだけならもう一度切ったり後でヤスリがけすれば処理できますが、パーツ自体を切ったりえぐったりしてしまうと不要な修正作業が発生します。
ゲート断面の短辺から切る
ゲートの断面はよく見ると長方形になっています。
切り出しをする時はゲート断面の薄いほう(短辺方向)から刃を入れて切り離すようにしましょう。
画像左のように薄いほう(短辺方向)からニッパーの刃を入れてカットします。
画像右のように厚いほう(長辺方向)からニッパーの刃を入れると余分なストレスがかかり、切断面の白化や変形などのトラブルにつながります。
ケースごとの切り出し方法
パーツの形状やゲートの種類、プラスチックの材質によって切り方を変えなければいけません。
それぞれのケースごとにゲートカットのやり方を説明していきますね。
通常の切り出し
まずは最も回数が多い通常のゲートカットです。
1回でパーツを切り離してしまおうとせずに、二度切りでゲートカットをしていきます。
1回目はパーツから少し離れた位置にニッパーの刃を入れ、パーツをランナーから切り離します。
2回目はパーツ表面に平行に刃を当てながら残ったゲートを切ります。
丸いパーツの切り出し
形状が丸や曲面の場合は、パーツ形状に沿って三度(もしくはそれ以上)に分けてゲートカットします。
1回目はパーツから離れた位置にニッパーの刃を入れてランナーから切り出します。
この時バリとして部品にゲートが残っても気にしなくて大丈夫です。
2回目のカットはパーツの形状に沿って斜めに刃を入れます。
3回目は角度を変えてもう一度刃を入れます。
2回で終わらせようとすると切断面が平らになってしまいますが、3回に分けることでパーツ形状にあった形でゲートカットが可能です。
アンダーゲートの切り出し
動画では通常パーツのアンダーゲートを2回に分けて切り出す方法を紹介しましたが、ここではより丁寧な3回に分けた切り方を紹介しますね。
プラ板とプラ棒で作ったアンダーゲートのモデルで説明します。
1回目は通常の二度切りのようにゲートを残してカットし、ランナーからパーツを切り離します。
2回目はパーツの側面に刃を添えてカットします。
メッキパーツは表面に刃を当てると痛めてしまう事があるので、そんな場合は少しだけ離したほうがいいでしょう。
3回目でパーツに残ったゲートをカットします。
このように三回に分けて切り出しをすることで、メッキパーツなどの表面を傷つけずに作業する事ができます。
通常のプラスチックパーツなのかメッキされたパーツなのかで、2回・3回とアンダーゲートの切り離し方を使い分けるといいでしょう。
タッチゲートの切り出し
ガンプラのSDシリーズなどによく採用されているのがタッチゲートです。
ゲート断面が非常に小さいのでランナーを押さえながらパーツを手でもぎ取るだけでパーツを切り離す事ができます。
小さな子供向けなので工具不要というのは便利ですね。
ただしもぎ取ると意外とゲート跡が残ったりパーツがえぐれてしまいます。
なので綺麗に仕上げるならデザインナイフやカッターナイフで丁寧に切断したほうがいいでしょう。
細いパーツの切り出し
パーツとゲートの間にニッパーを入れるだけで折れそうな細い部品もあります。
そのような場合にはパーツに負担がかからないよう力が逃げやすい順番でカットします。
上の画像で言うと端の方から切り進めていった方が破損のリスクを減らす事ができます。
真ん中のゲートに最初にニッパーの刃を入れてしまうと、パーツに力が伝わりポキッと折れてしまいかねません。
クリアパーツの切り出し
ライトやガラスなど透明部品の表現にはクリアパーツが使われています。
実はこのクリアパーツ、通常のパーツよりも割れたりヒビが入ったりしやすいです。
同じプラスチックですが素材の配合とかが違うんでしょうね。
私も昔戦闘機のキャノピーを二度切りした時に「ピシッ」とクラックが入ってしまった経験があります。
クリアパーツの割れは補修がきかないのでかなりショックでした。
ゲートが太くて2回目のカットでパーツに負担がかかりそうな場合は、よく切れるデザインナイフで残ったゲートを削るといいでしょう。
1回目のカットはエッチングノコなどを使ってもいいですね。
パーツのフチにバリが残った場合はマスキングテープなどでパーツを保護してからヤスリで仕上げれば大丈夫です。
切り出しが難しい場合
切り出しが難しい場合は、ランナーごとパーツを切り出すのもアリです。
パーツに残ったランナーは後からカットします。
場合によってはエッチングノコなどでカットする方法もあります。
その他のヒント
あえて切り離さない
小さなパーツで完成後に見えなくなる位置にゲートがある場合は、ランナーにつけたまま製作を進めることもあります。
ランナーに付けたまま作業を進め、接着する直前に切り離します。
そのほうが作業性も良いし部品の紛失も防げます。
パーツとゲートとの区別がつかない事も
パーツとゲートの区別がつきにくい場合もあります。
説明書の部品形状をよく見てカットするようにしましょう。
識別しやすくする
組み立て時にはパーツランナーを見分けるのに意外と時間をとられます。
マスキングテープや付箋を使ってランナーを識別しやすくしておくと、集中力が途切れず作業できます。
片づけやすくする
シンプルなHGシリーズでも組み終わる頃にはこれだけ切りくずが出ます。
ゲートカットの時はキットの箱やゴミ箱の上で作業すると机が汚れず片づけも楽です。
まとめ
ココがポイント
- プラモデル用ニッパーを使う
- 二度切りをする
- ニッパーの刃を当てる角度に注意
- ゲート断面の短辺方向から切る
ゲートカットは単純そうで実はとても奥深いですね。
作業に熟練する事でトラブルを防ぎ仕上がりも良くなり、ストレスなく製作を楽しむ事ができます。
より綺麗な切断面を得るためにいい道具を使うのも手かもしれませんね。