ガンプラをつや消しトップコートする方法は
- 缶スプレーを使う
- エアブラシを使う
の2通りあります。
ここでは初心者向けの缶スプレーを使った方法を丁寧に動画付きで解説します。

ぜひ参考にしてください。
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いつやる?ガンプラつや消しのタイミング
ガンプラをつや消しする基本的なタイミングは
- スミ入れした後
- 水転写デカールを貼った後
と覚えておくといいです。
キットに標準で付属するシールやウェザリングをする場合に関してはケースバイケースで考えます。
スミ入れは済ませておく
ガンプラをつや消しする前にスミ入れは終わらせておきます。
つや消しトップコートをすると表面がザラザラになり
- スミ入れ塗料がにじむ
- スミ入れ塗料が拭き取りにくい
状態になるからです。
パチ組み状態や基本塗装が終わって光沢・半光沢の表面のほうがスミ入れが綺麗に仕上がります。
水転写デカールは貼っておく
水転写デカールはつや消しトップコートの前に貼ります。
光沢・半光沢の表面のほうが
- デカールの位置決めがやりやすい
- 気泡が入らず綺麗に貼れる
からです。
上級者はスミ入れ・デカールを貼る前に一度光沢クリアコートをする場合もあります。
シールはケースバイケース
よくHGシリーズに付属するホイルシール・マーキングシールの場合はケースバイケースです。
艶が消えてもいいシールの場合は先に貼っておき、シールの上からつや消しトップコートをすることでガンプラと一体感がでます。
艶が消えたら困るキラキラ系のシールはコーティングの後に最後の仕上げとして貼ります。
ウェザリングは多重コーティングで対応
ガンプラをウェザリングする場合工程ごとにコーティングを行うことが多いです。
1回目のコーティング
スミ入れした塗料や水転写デカールの保護のために1回目のコーティングを行う。
次のウェザリング工程の塗料や素材が定着しやすいザラザラな表面を作る目的もある。
1回目のウェザリング
塗装の剥がれを表現するためにチッピングを行う。
2回目のコーティング
1回目のウェザリングを保護するために行う。
2回目のウェザリング
土埃を表現するためパステル系の素材を使う。
3回目のコーティング
パステルの保護のために仕上げとして行う。
という感じで多重コーティングします。
つや消しを失敗しない5つのコツ
つや消しトップコートに限らず、缶スプレーで塗装する場合は以下の点に注意しましょう。
ココがポイント
- 晴れた日に塗装する
- 使う前によく振って塗料を撹拌する
- 15~20cmの距離でパーツと平行に動かす
- 吹き始めと吹き終わりはパーツに塗料をかけない
- 塗装の合間もスプレー缶を振る
晴れた日に塗装する(湿度管理)
まず塗装は晴れた日にやりましょう。
雨降りなど湿度の高い日にやると塗装面が白化して台無しになる可能性が高いです。
白化とは?
白化現象(はっかげんしょう)とは、工作物の表面をラッカー塗料などの速乾性の高い塗料で塗装した際に時間の経過とともに塗装面が白く濁る現象をいう。かぶり、ブラッシングともいう。
引用元:白化現象 (塗装)
湿度計があると確実
塗装、特につや消しコーティングの場合は湿度管理が重要です。
私の場合左のデジタル式が湿度75%で白化を経験したので、70%以下の時に塗装するようにしています。
また通販やホームセンターで入手できる一般的な湿度計の計測誤差は±10%です。(説明書に明記されている。)
白化する・しないは温度・湿度の両方に影響されので、基準にする湿度計を決めて自分の環境にあった条件を探し出してください。
ちなみにデジタル式温湿度計のほうが測定レスポンスが良いので、私はデジタル式を目安にしています。(部屋を換気しただけでも温度・湿度はだいぶ変化します。)
湿度管理さえちゃんとできていれば、雨の日にエアコンフル稼働で塗装をしても大丈夫です。(私はやります。)
ただし換気には注意してください。
使う前によく振る
しばらく使ってない缶スプレーは
- 中で塗料が分離
- ガス圧が低い
状態です。
なので使用前には缶スプレーよく振って中の塗料を撹拌し適正なガス圧にします。
中に入っている撹拌球が””カラカラ”っと音を立てるまで20~30回は振ります。
15~20cmの距離でパーツと平行に動かす
缶スプレーはパーツと平行に動かします。
止まって1点に吹き付けると塗料がタレてしまうので、上下でも左右でも塗る対象にあわせて動かしましょう。
距離は15~20cmが適正です。
近いと塗料が多すぎてタレてしまい、遠いとミストが荒くなって表面がザラザラになります。
15~20㎝ってどれぐらい?
吹き始めと終わりはパーツに塗料をかけない
缶スプレーの吹き始め・吹き終わりは噴霧状態が不安定なので、塗装ミストがパーツにかからないようにしましょう。
例えば吹き始めはダマになった塗料が噴出しやすいです。
塗装の合間もスプレー缶を振る
忘れがちなのが塗装の合間にもスプレー缶を振ってガス圧を維持するという事です。
缶スプレーを噴射すると冷却されてガス圧が低下し、塗料がダマになって出てきやすくなります。
新品ならそうでもないですが、残量の減った缶スプレーで特に起こりやすい。
なので私は塗装の合間もずっとスプレー缶を振り続けています。
ガンプラにおすすめのつや消しトップコート剤

ガンプラ界隈でよく使われてるのはGSIクレオスのトップコートシリーズです。
- 水性系
- 溶剤系
の2系統がありそれぞれメリット・デメリットがあるので、自分の環境にあわせて選んでください。
水性系のスプレー(初心者おすすめ)
ココがおすすめ
- 臭いが少ない
- 下地を傷めない
水性なので匂いが少なく、子供や臭いに敏感な人でも比較的安心して使えます。
また水転写デカールや水性塗料の上に重ね吹きしても下地を傷めることがありません。
ココがイマイチ
- 塗膜が弱い
- 容量が少ない
溶剤系の塗料に比べると乾燥後の塗膜は弱いです。
私は乾燥後に爪で擦ると跡がついた経験があります。(扱い方が悪かったかも…。)
またGSIクレオスの水性スプレーは容量が少ないのもネックです。
HGシリーズのガンプラなら1体目は余裕で塗れますが2体目だと心細いです。

先発品の水性つや消しトップコートでもいいですが、吹きすぎによる白化現象を極力抑える材料を使用した水性プレミアムトップコートのほうが扱いやすいでしょう。
値段も同じぐらいです。
溶剤系のスプレー
ココがおすすめ
- 塗膜が強い
乾燥後の塗膜が強いのが溶剤系スプレーの利点です。
エアブラシを使う中・上級モデラーが好んでラッカー系塗料でコーティングするのも塗膜が強いからです。
ココがイマイチ
- 臭いがキツイ
- 下地を傷めることがある
有機溶剤を使っているので臭いがキツイのはマイナスポイント。
臭いに敏感な人や小さな子供がいるモデラーさんは使用を控えたほうがいいかもしれません。(私は小4でもガンガン使ってましたが…。)
また一度に厚塗りすると有機溶剤が浸透して水転写デカールや下地塗装を傷めることがあります。
なので一度に厚塗りせず、必要なら2回に分けてコーティングしましょう。

無塗装でつや消しだけしたいなら標準タイプのコート剤でも可能。
全塗装した場合は直射日光だけでなく照り返しや蛍光灯の紫外線でも塗装が徐々に劣化します。
特に赤・青の原色は色あせがわかりやすいです。
塗装を長持ちさせたいなら紫外線による影響を軽減させるUVカットタイプがおすすめです。
つや消しトップコートをすると表面が荒れるため、パーツどうしが擦れると傷がついたりはがれやすくなります。
そこで従来品よりもしっとりとした塗膜になるスーパースムースタイプが登場。
私はエアブラシで瓶入り同等品の「GX-114 スーパースムースクリアー」愛用してますが、缶スプレーでつや消しをするならこっちを選ぶと思います。
つや消し実践編(動画あり)
それでは缶スプレーを使ったつや消しトップコートに挑戦しましょう。
この記事では
- 二度切り・ゲート処理のみで組み立て
- 3種類のガンダムマーカーでスミ入れ
したスミ入れのみで無塗装のHGジム・コマンド(宇宙仕様)を例にします。
実践動画
似た内容の実践動画もUPしてあるので参考にどうぞ。
こちらのHGネモは
- エアブラシ全塗装
- 水転写デカール貼り
の上から溶剤系のトップコートを吹いてます。
スプレー前の準備

つや消しトップコートをする前に組み立てたガンプラを部位ごとに分解します。
パーツ単位まで分解すると逆にやりにくいのでこれぐらいがいいでしょう。

クリアパーツはつや消しトップコートがかかると曇ってしまうので事前に外しておきます。
もし分解できない場合はマスキングします。

塗料が付着すると動きが渋くなるので、できれば関節軸やポリキャップをマスキングテープで保護しておいたほうがいいです。
マスキングせずに塗装して、動きが渋くなった関節に綿棒などでミニ四駆用のグリスを塗る方法もあります。
ただし調整が難しく、動き過ぎてグニャグニャになることもあるようです。

各部品には持ち手棒を付けて、直接手で触らなくてもいいようにします。
持ち手棒を立てておくための塗装ベースもあったほうがいいです。

持ち手のクリップで挟むでけでなく、ポリキャップに軸を差し込んでもOKです。

専用の持ち手が無い場合は、竹ひごや竹串、割り箸やランナーに目玉クリップや洗濯バサミを巻きつけて代用することもできます。
塗装ベースも100均の「猫の爪とぎ」で代用することができます。
つや消しスプレーを吹く
持ち手まで付けたらつや消しトップコートをスプレーしていきましょう。

画像はつや消しトップコートを吹いた直後のもの。
パーツ表面で塗料が薄く均一に膜を作って全体的にテカってるのが分かりますか?
つや消しでもカラースプレーでも、塗料を吹き付けた直後はこれぐらの乗り具合がちょうど良いです。
塗料がタレるのを気にして缶スプレーを離しすぎると、吹きかけた直後から艶がなく荒れた表面になります。
逆に多く吹きすぎてしまうと、塗料が表面張力でパーツのフチで持ちこたえて(少し盛り上がって)いるような状態になります。

全ての部位につや消しトップコートをスプレーしたら30~60分乾燥させましょう。
乾燥時間はどれぐらい?
使う塗料と温度・湿度で変化します。
夏場だと30分たてば軽く触れる程度になります。
ただし強く握ると指紋がついたり爪をたてると跡が残ることもあります。
次の工程に移るなら余裕をみて60分ぐらいは乾かしてもいいでしょう。
ちなみに塗膜の内側まで完全乾燥するまでは数日~数週間かかると言われてます。
ちょこっと触れてみて様子を見ながら作業を進めてください。
シール貼り&組み立て
つや消しトップコートが乾いたらシールを貼ります。

ピンセットを使ってシールを配置し、綿棒で押さえると綺麗に貼れます。
ジム・コマンドのシールはキラキラ光沢系なのでコーティングをした後に貼りました。

最後に全ての部位を組み立てたら完成です。

分解しないで塗装する方法
ガンプラを分解しないで作業する方法もあります。

段ボール箱などで周囲を養生して表を塗装し…

乾燥後に裏面を塗装します。

軽量なキットなら、台座になる物にマスキングテープなどで固定してもいいでしょう。

こうやって1発でコーティングしちゃう方もいらっしゃるようです。(Youtubeで登録者数が数万人いる海外のモデラーさんはこうやってました…。)
ただし分解しないで塗装する場合は関節やわきの下など塗り残しが多くなります。
スプレーの掃除も忘れずに!
使い終わったら缶スプレーのメンテナンスも忘れずにやっておきましょう。

まずは逆さにして1~2秒噴射しガスで噴射口の中に残った塗料を吐き出します。
これだけでもかなりの効果があります。

加えて噴射口をラッカー系の溶剤を染み込ませたティッシュなどで拭き掃除すれば完璧です。
掃除しておかないと次に使う時に詰まって噴射できなかたったり、”ジュルジュル”っとなりうまく吹き出せなかったりします。
特に残量が少ない缶スプレーやしばらく放置した場合になりやすいです。
つや消し前後の比較画像
つや消し前後の比較画像をのせておきますね。

左がつや消し前、右がつや消し後です。

胸部の赤いパーツは特に違いが分かりますね。

バックパックもつや消し処理したほうがリアル感が出ます。

プラスチック感が消えて「おもちゃ」から「模型」になりました。
ガンプラのつや消しまとめ
ガンプラをつや消しする基本的なタイミングは
- スミ入れした後
- 水転写デカールを貼った後
でした。
失敗しないためには
ココがポイント
- 晴れた日に塗装する
- 使う前によく振って塗料を撹拌する
- 15~20cmの距離でパーツと平行に動かす
- 吹き始めと吹き終わりはパーツに塗料をかけない
- 塗装の合間もスプレー缶を振る
というポイントに注意してください。
つや消しスプレーには
- 水性系
- 溶剤系
の2系統があり、初心者や子供でも扱いやすいのは水性系のほうです。
白化現象を抑えるGSIクレオスの水性プレミアムトップコートを使うと初めてでも上手に仕上がるでしょう。
滑らかで強い塗膜が欲しく、匂いを気にしなくてもいい環境ならスーパースムースクリアーがいいでしょう。
